「特許」世界共通化へ協議

富士三合目

2012年03月09日 01:22

政府は6月から米国、欧州、中国、韓国と特許制度の共通化に向けて協議に入るとのこと。(3月6日付日経新聞朝刊)

誤って発明を公表した発明者の救済策や審査中の特許技術の公開範囲など40項目が対象になる。特許制度を整備して企業が世界で事業展開し易い環境を整え、特許出願件数世界第一位に急拡大している中国に協調を促し、国際的な枠組みに取り組む狙いがある。

特許制度の世界共通化協議が可能になったのは、米国が昨年9月、「先発明主義」から「先(出)願主義」に制度変更したことが大きな契機になっています。

一方、中国は1985年に特許法に当たる専利法が制定され、過去3回の改定を経ている。国際的なパリ条約にも1984年に加入、PCT条約にも1993年に加入した加盟国であり、中国政府としては、積極的に特許制度を運用していることにはなっています。しかし、実用新案や意匠権においては、大いに問題があり、コピー(偽)ブランドが横行している実体もあります。

又、実用新案が実質的には無審査に近い(形式審査のみ)ため、中国国内において、外国企業が取るに足らないアイディアの実用新案で逆に抵触による販売差し止め訴訟を起こされるケースも増えており、それによって高額な賠償金請求を受けるリスクも増えている様です。例えば米アップル社の多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の販売差し止め訴訟や、日本アニメの「クレヨンしんちゃん」販売差し止め訴訟が有名です。偽物が先に実用新案や、商標登録されてしまい、本物がいつの間にか中国では偽物扱いされてしまうことになる訳です。

日本の地方県名(青森、鹿児島等)が商標登録されてしまい、産地表示をすると商標権に抵触すると言うようなことも実際には起こっていると言われています。


(出所:ウィキペディア 豪「Kiwi社」の製品を模して「KiMi」になっている。)

この他にもSONY→SQNY、SHARP→SHARK、HONDA→HONGDA・HOMDA、YAMAHA→YAHAMA、HITACHI→HITACCI等があります。
中国のコピー(偽)ブランドは一種の中国の文化になりつつあり、笑って済ませる問題ではなくなって来ています。日本の税関で輸入差し止めを受けた「コピー(偽)ブランド品」は2011年度2万3280件で、その内中国品が約91%(前年比1.1%増)を占めているとのこと。

かつての日本も外国製品コンプレックスがあり、その模倣から次第にレベルアップして行った経緯がありますが、現在の情報化社会では、ものすごいスピードで洪水の様に偽ブランド品が普及します。特許制度の世界共通化が速く進むことを期待したいと思います。
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