レアアース使用量半減の高性能磁石(ネオジム磁石)

富士三合目

2011年12月01日 00:37

大同特殊鋼、三菱商事、及び米国資源会社モリコープの3社は岐阜県中津川に合弁会社を設立し、「ネオジム焼結磁石」の製造販売を行うことに合意したと発表しました。モリコープ社が自社保有鉱山から産出されるレアアース(希土類)のネオジムを供給することになっています。

「ネオジム焼結磁石」は現在最も強力な永久磁石と言われており、レアアース(希土類)のネオジム・ジスプロシウムを原料として造られ、電気自動車やハイブリッド車の駆動用、エアコンのコンプレッサー、風力発電機の高性能モーター等に組み込まれて用いられており、今後需要が大幅に伸びると見られています。

現状では主要特許を押さえている日立金属が世界最大手で、その他信越化学工業、TDK等日本企業が世界シェアの大部分を占めていますが、原料となるレアアース(ネオジム・ジスプロシウム)はほぼ全量中国からの輸入に頼っていると言う状態でした。


 (出所:日立金属HPより「ネオジム焼結磁石」)
この「ネオジム焼結磁石」は住友特殊金属(現日立金属)の社員であった佐川真人氏が発明し、1983年に学会発表した経緯があり、新合弁会社は現在佐川真人氏が社長を務める「磁石開発会社」から新製法のライセンスを受けて製造するとのことで、新製法では、ネオジムが30%、ジスプロシウムは半分に使用量を削減でき、コストも30%ダウン可能で、将来的にはジスプロシウム使用量ゼロも実現するとのことです。レアアース原料の中国への依存からの脱却が期待されるところです。

又、佐川真人氏は工学博士で、1988年独立して「インターメタリックス株式会社」を設立し、代表取締役社長として現在に至っており今まで数々の賞を受賞しています。

(インターメタリックス社の会社案内)

 (出所:インターメタリックス社HPより)

個人が経営するベンチャー開発企業(従業員12名)が、世界の大手企業を相手にライセンスを供与して事業化するとは、全く痛快な出来事であり、創成期の「SONY」や「HONDA」を見るような感じがします。
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