自然エネルギー「海洋温度差発電」実証試験始まる
佐賀大学と神戸製鋼所が共同で海水の温度差を利用して発電する「海洋温度差発電」の実証試験に乗り出すことを発表しました。問題の発電単価は出力1万kwの規模で20円/kwh程度になる様な次世代技術です。
佐賀大学は1994年に新しい海洋温度差発電サイクル(ウエハラサイクルと呼ばれる)を国際学会で上原教授が発表して以来研究を続けており、今回実証試験に乗り出すところまで来た訳です。民間企業などではなかなか続けられない地道な研究が実を結びつつあると言うことでしょうか。
海洋温度差発電の発電原理は海洋表面の温かい海水で沸点の低いアンモニア(沸点:マイナス33.34℃)の蒸気を発生させてタービンを回して電力を生み出し、余った蒸気は海洋の深層(水深1,000m)の冷たい海水で冷やして再利用する。
(海洋温度差発電の原理:佐賀大学ホームページより)
佐賀大学は神戸製鋼所のチタン材料を使って発電装置の心臓部となる熱交換器の効率化を進め、装置全体のコストダウンを目指すとのこと。
新たに開発する熱交換器を使用して10kw程度の実証装置を開発し、約1年間の実証試験を進め、発電単価を検証する予定。設置場所は未定であるが、沖縄県の久米島が有力候補とのこと。このプロジェクトは新エネルギー・産業技術総合機構(NEDO)が今年度から5年間実施するとのことです。
(海洋温度差発電実験装置:佐賀大学ホームページより)
以前紹介した海水塩分濃度差を利用する「浸透圧発電」やこの「海洋温度差発電」などは、海洋国日本にとって、自然エネルギー技術としては将来是非成功して欲しいものです。
この「海洋温度差発電」は一般的には海洋表面温度と深層温度差が20℃以上必要と言われており、赤道から緯度20度以内(南回帰線と北回帰線の範囲内)が立地適地とされ、米国ハワイ州での研究が最も盛んですが、日本領土としては唯一絶海の孤島「沖ノ鳥島:東京都小笠原村」が存在します。(日本最南端の絶海の孤島に海洋温度差発電所も日本領土保全の為には悪くない発想。・・これは石原東京都知事が以前提唱していた説。)
しかし、佐賀大学の開発した「ウエハラサイクル」は温度差10~25℃で適用可能であり、北回帰線以北でも実証可能と言うことです。この温度差範囲であれば、日本各地で充分立地可能であり、今後の研究成果に期待したいと思います。(がんばれ!佐賀大学)
(海洋温度差発電の可能性:佐賀大学ホームページより)
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